唐突ですが、古い友人の話でも書こうかと思います。この人とは1回だけ話をしただけなんだけれど、友人と書いて差し支えないと思います。それがこのスクリーミン・J・ホーキンス 。
ちょっと回りくどいけれど、どうして今日は彼のことを思い出したかというところから話を始めたいと思います。それが、来年の夏にミラノのサンシーロ・スタジアムでオペラ公園が予定されているという話なんです。サンシーロは、カルチョのオフシーズンに、ロックコンサートが開かれるのが恒例になっているけれど、オペラ公園は初めてなんだそうです。野外オペラといえばヴェローナが有名だけれど、サンシーロなら泊りがけで行かなくてもいいのが魅力ですね、我が家的には。まあ、スカラに行けばちゃんとした劇場の最良なオペラが鑑賞できるのだけれど、野外のイベント的雰囲気というのも、それはそれで楽しいものです。
おいらが始めて本格的な野外オペラを体験したのは、その昔、NYに滞在していた夏休でした。セントラルパークの(夏休みに毎日企画がある)フリーコンサートの1日がNYメトロポリタンのオペラ公園で、「アイーダ」を観たのを覚えています。この滞在では、ホントお金がなかったので、フリーで楽しめるセントラルパークのコンサートには期間中よく出掛けました。その別の1日がスクリーミン・Jのコンサートでした。当時、ジム・ジャームッシュの映画で彼の曲が効果的に使われていたこともあり、既にファンだったおいらは、その日も出掛けてコンサートを満喫しました。その日の彼の前に出演していたバンドのボーカルの人が、なかなか観客が乗り切らない見たためか、「みんなスクリーミン・Jが観たくてたまらないんでしょ、私達はこの辺りでおしまいにするから、これからもっと楽しんでね」みたいなことを言ってさっさと帰っていったのを覚えています。
この日のスクリーミン・Jも、いつもと同じような衣装と演出でLIVEをしていたので、首にはゴムの蛇を巻いていました。その後、NY滞在中に立ち寄ったお店でちょうど彼の巻いていた蛇と同じくらいのサイズの蛇が売っていたので、それを買って帰りました。
NYから名古屋に戻ってくる日に、空港へ当時の彼女、現在の妻に迎えに来てもらうことになっていました。ちょうどその日の夜に名古屋でバイトしていたお店のパーティーがあったので、帰国後そのまま会場(お店)へ向かう予定でした。それが、空港の税関を通る時にそのお土産のゴムの蛇を首に巻いていたら、(当時は長髪だったこともあり)かなり怪しいと思われてしまったようで、別室に連れて行かれて荷物を隅から隅まで調べられました。当時はタバコを吸っていたのだけれど、持っていたタバコも試験管に入れて調べていました。幸い身の潔白を証明できたようで、そのまま空港から出してもらえたのだけれど、この時に2、3時間くらい荷物の検査をされていたようで、待ってもらっていた現在の妻には、ずいぶん退屈な(あるいは心配な?!)時間を過ごさせたと思います。余談ですが、この経験以来、空港の税関を通る時には首に蛇を巻かないようにしています。賢明な読者の人にも、首に蛇を巻いて外出することはおススメしません。
さて、それから約1年後に名古屋のクラブ・クアトロでスクリーミン・JのLIVEがあり、その日は首に蛇を巻いて出掛けました。当時のクアトロはオーナーが顔見知りだったりして、結構大きな顔をして出入りしていたので、LIVE後に控え室に入れてもらい、スクリーミン・Jと初めて、そしてこれが最後の笑談をしました。NYでも観たというと、彼は「そうかい、ホントに世界は小さいね」と笑っていました。それで、おいらの蛇と、彼の蛇をキスさせて記念写真を撮りました。彼に「あなたはホントにクレイジーな人だ」というと「それは君のほうさ」といって、やっぱり笑っていました。多分、楽屋にやって来るファンの中でも、蛇を首に巻いている人間は少なかったのではと思います。
彼は既に他界していますが、なかなかに面白い紳士でした。
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