
フランスでは、毎日いわゆる「フランス料理」のような凝ったものばかり食べているかと思えば、一般的に「ステーキとフライドポテトが国民食だ」と言われるくらいただ焼いただけのステーキが好まれると書かれることもしばしば。イタリアもちょっと似た傾向があり、「ビステッカ」はどこでも定番メニューです。
BAR系の食事でこれを注文すると、かなり薄くて硬いお肉に出会うことがありますが、あれはあれでお肉の味がよくわかるので、おいらなんかは嫌いではありません。お肉好きの人にオススメなのは、タリャータというメニュー。これも広義ではビステッカなんだけれど、焼いたお肉を切ってから盛り付けてあります。トラットリア等で、「薄くて硬いお肉のビステッカには巡り合いたくないなあ」と思っているときなんかには割と安心して注文できます。何しろ、焼いてから切ってお皿に載せるので、あまりに薄いお肉では実現不可能なため、ある程度厚みのあるかたまりを調理してくれます。必然的に不必要によく焼いた状態で出てこないというからくり。タリャータとルコラというのもなかなかに魅力的な取り合わせです。
逆に、「ダイエット中だから鶏肉の胸肉のグリルでも注文しようか」という人にオススメなのは、「スーペルコット」で注文すること、もも肉ならともかく、イタリア人の好む胸肉のステーキでは、やっと火が通ったくらいで食べるよりも、がんがん火を通して焼いた方がおいしいこともあるのです。丸焼きで中まで火を通すために外側がちょっと硬くなるくらい焼けているところがありますが、そういう状態です。日本人は何でも「やっと火が通ったくらい」というのを好む傾向がありますが、火が通り過ぎた食材にもそれなりの魅力があるものです。スペインのパエリアに入っている火の通り過ぎたイカがおいしかったりする理屈です。
余談ですが、イタリアではフィレンツェ名物の大きなステーキ、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナを単に「フィオレンティーナ」とか、ミラノ名物のカツレツ、コトレッタ・ミラネーゼを「ミラネーゼ」と呼ぶことがあります。地方のトラットリアでメニューを口頭で伝えるときに「ポルペッタ、ブラッチョーラ、ミラネーゼ」なんて感じで列挙します。
